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人類、再び月に立つ予定 / 女性の月面着陸は史上初で5年以内を目処

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いやー、久しぶりに胸アツなニュースが飛び込んできました。個人的には平成の間に耳にしたニュースの中で、ぶっちぎりにロマンを感じるニュースです。皆さん、また人類が月に立つそうですよ!

マイク・ペンス米副大統領が、「5年以内」という超短い期限つきで宣言しました。その時の様子は、NASAの公式Twitterや副大統領ご本人のTwitterで見ることができます。しかも、しかもですよ……史上初の女性宇宙飛行士による月面着陸も予定しているそうです。

・月面に着陸します

NASAの公式Twitterに掲載されている動画での副大統領の宣言はこんな感じ。

ペンス副大統領 “America will once again astonish the world with the heights we reach, the wonders we achieve and we will lead the world in human space exploration once again. Now let’s get to work. ”
(アメリカは再び、その到達する高度と、成し遂げる成功によって世界を驚がくさせ、再び人類の宇宙開発をリードするだろう。さあ取り掛かろう。)

この宣言の動画だけだと着陸するのかはちょっと不明瞭ですが、NASA Astronautsの公式Twitterの方にはしっかりと「surface of the Moon(月の表面へ)」という言葉と共に、アポロ計画時の月面歩行中の写真をアップしています。

また、副大統領のTwitterには以下のような投稿も。

ペンス副大統領 “The first woman & the next man on the Moon will both be American astronauts, launched by American rockets, from American soil!”
(月面に立つ最初の女性、そして次の(アポロ以来の)男性はアメリカ人になるだろう。アメリカ製のロケットで、アメリカから打ち上げるのだ!)

ということで、間違いなく彼らは着陸する予定。

・アポロ計画以来

ちなみに、前に人類が月面に着陸したのはアポロ計画でのこと。発着陸は1969年7月16日のアポロ11号によるもので、ニール・アームストロング氏による「1人の人間にとっては小さな一歩だが~」という発言は有名です。

実をいうと、アポロ計画は11号のあとも、わりと続きました。例えば失敗から奇跡的な生還を果たした13号は、トム・ハンクス主演の映画『アポロ13』のヒットもあり有名でしょう。当初は20号まで予定されていたようですが、予算的にキャンセルとなり17号で打ち止めに。

結果的に、13号を除く11号~17号全てで着陸を成功させ、飛行士たちは月面を歩いていたり、あるいはバギー的な月面車でドライブをキメたりしました。最後の17号は1972年のことなので、仮に5年後の2024年に再び月面着陸を果たした場合、52年ぶりということになります。

・ZOZOの前澤社長とはレベルが違う

シンプルに「月に行く」なんていうと、「ZOZOの社長だって月に行くじゃん?」みたいな感じ、ありません? いやいや、今回のは前澤社長のプランとはちょっとレベルが違います。前澤社長が予定しているのは、月周回旅行。

彼は月には降りません。アポロ8号と同じ感じで、月の周りをぐるっと飛んで帰ってくるだけ。それでも十分凄いんですが、着陸とはやはり難易度も凄さもケタ違い。周回したくらいで「月に行った」なんて、月マニア的には許せません。

例えば、電車で舞浜駅を通過する時にディズニーをチラッと見ただけで、一度も入園したことの無い人が「ディズニー行ったことあるし」とドヤ顔キメてたら、「近くを通り過ぎただけやないか!」となるでしょう? そういう感じです。

・月面着陸のロマンとインパクト

まあ、月なんてどうでもいいよという人も世の中にはそれなりに……いや、わりと沢山いる気がしますが、月にいい意味で人生が狂わされた人も結構いると思うんですよね。アポロ計画のロマンにやられて理系に進んだり、それどころかガチで科学者やエンジニアになって、今まさに最前線で働いてらっしゃるみたいな方とかは特に。

個人的な話で申し訳ないですが、実は私もその類。小学生か中学生くらいの頃にトム・ハンクスが製作総指揮を務める『人類、月に立つ』っていう、アメリカのHBOが作成したドラマにドはまりして宇宙に興味を持ったんですよね。

それで月を見上げて「あそこに行ったのか」などと思っていたわけです。そしてなぜか「おっさんが行ったなら僕ももっと遠くの宇宙にいけるはず」などと謎の確信を抱いて、ガチに「人類初の外宇宙探査に同行する生物学者」の立場を目指して、そのまま大学までいっちゃったドリーマーでした。

残念ながら、生きているうちに外宇宙探査が実行される見通しはたたなそうなので諦めましたが。それはともかく「おっさんが月に行った」ことは、子供だった私にとってそれくらいのパワーがあったわけです。

・リアルなヒーロー

私がアポロ計画について知ったときには、すでに月面着陸は30年も前のこと。それがこの5年以内にもう1度いくということですから、今の子供たちにとってのインパクトは特に大きいんじゃないかなと。

特に女の子にとってのインパクトは大きそう。宇宙飛行士って子供たちにとって、わりとビッグなヒーローだったりするじゃないですか。確かにプリキュアや仮面ライダーもヒーローですが、あれは創作。子供も子供なりに、現実と創作の違いってわかってたりしますよね。

でも宇宙飛行士は実在して、努力すれば本当になれるためリアリティが違います。とはいえ、実際にメディアに出てくるのは男性が多い。だから女の子が宇宙飛行士に将来の自分の姿を重ねて本気の夢を抱くのは、男の子にとってのそれよりもハードルが高い気がするんですよ。私の時もニール・アームストロング氏がおっさんだったことは重要でしたから。

でも今回は女性と男性。男の子にとっては前例もあるのであれですが、女の子にとっては史上初。中継などで見ている中、女性の宇宙飛行士が月面を歩いていたら「いつか自分も」と大きい夢を抱きやすい気がします。

そもそも目指さないと何も始まらない分野ですが、これがきっかけとなって10年、20年後の女性の宇宙進出に繋がるのもワンチャンあるのでは? そしてその時のインタビューで「2024年の女性の月面着陸を見て目指しました」みたいな言葉が出るのでは……なんて未来を感じさせる発表です。

ぶっちゃけトランプ大統領は、ちょっとぶっ飛んでる発言や施策が多いイメージ。個人的には大統領というより珍獣的な目で見ていましたが、今回の月面着陸については最高に胸アツ&夢のある話をありがとうという感じ。5年以内とのことなので、恐らく発表よりも先立って準備を進めていたのではないかと。約50年ぶりの月面着陸は誰になるのか続報を待ちましょう。

参照元:Twitter @VP@NASA@NASA Astronauts
執筆:江川資具
イラスト:原田たかし